「他人の世話になりたくない」という頑固な高齢者。ケアマネが説得を試みますが、訪問介護サービスの利用をなかなか受け入れてくれません。そんなある日……。
一人暮らしの高齢者は、日常生活が困難で訪問介護の必要性が高くても、ヘルパーが入れない・入らせてもらえないというケースが多々あります。
こちらの利用者、田中さん(仮名)は拒否が強く、「他人の世話になりたくない」という考えをお持ちです。なんとかサービス担当者会議まではこじつけたのですが、なかなか生活支援に入らせてもらえない状況が続いていました。
訪問介護事業所につながったきっかけは、主に介護をしていた長男が介護に限界を感じて市の窓口に相談したことでした。
しかし、サービス担当者会議が終わった翌週に長男が入院。入院中の長男と連絡を取り合いながら、各所の専門職が連携して田中さんの生活を守らなくてはいけなくなったのです。
息子さんの入院を知った田中さんの心境は穏やかではありません。部屋にはゴミや洗濯物がたまり、冷蔵庫はカラの状態です。
もともと頑固な性格だったこともあり、「何も助けてもらわなくてもいい」「帰ってくれ」の一点張り。訪問介護計画書はあるのですが、ヘルパーが入ることはできません。
そこで、田中さんを説得するため、ケアマネが足しげくお宅に足を運ぶようになりました。
私が働く訪問介護事業所には同じ区画にケアマネがいるので、その様子はよく知っていました。
「まだヘルパーさんが入れる状況じゃないけど、がんばるね」とケアマネさんが言っていた矢先、田中さんは転倒して太ももの骨を骨折。そのまま入院となってしまいました。
部屋にたまったゴミや散乱したものにつまずいて、転倒してしまったようです。
「もっとはやく環境整備ができてたら……」とケアマネさんは後悔していましたが、その後、田中さんの心境に変化が。
お見舞いに行ったケアマネに「助けてくれるか」と一言。このままではいけないとご自身も思ったのでしょう。
田中さんが退院する頃には長男も無事退院することができ、その1週間後に訪問介護サービスを開始することができました。担当のケアマネも安堵の表情でした。
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