長生きするなら元気でいたいですよね。
96歳で一人暮らしをする高齢者には、健康長寿の秘訣があったようです。
訪問介護の利用者さんは、その多くが、足が弱かったり、持病があったりするなど、ヘルパーの手を必要とする方々です。
しかし中には、杖なしで歩けたり、頭の回転が速かったりと、とても元気に見える方がいらっしゃいます。
健康長寿の秘訣を知りたいと思い、「どうしてそんなにお元気でいられるんですか?」と聞いてみるのですが、ほとんどの方が「特に何も」と返答されます。
私が聞いた範囲ですが、90歳を超えてお元気な方の過半数は、特に何もしてないようでした。
それでも生活様式に何かヒントはないかと観察してみると、共通点がありました。
それは、「夢中になれるものがある」ということ。絵を描いたり、写真を撮ったり、読書をしたり……など、皆さん好奇心を持って楽しんでいるように見えます。
ある96歳の利用者さんは、ご夫婦で訪問介護を利用していました。奥さまには認知症があり、身の回りのことや家事ができない状態です。
当時は、ゴミが片付いておらず、お風呂やトイレは汚れたまま、キッチンは調理した形跡がなく、食器はたまり放題でした。
しばらくして、奥さまが亡くなったとの報告を受けました。それからまた時が過ぎたある日、その利用者さんのお宅を訪問すると、キッチン、トイレ、お風呂場などの水回り、それから玄関も掃除されています。
ご家族が掃除したのかと思いましたが、確かご家族は遠方にお住まいです。
驚いて聞いてみると、奥さまが亡くなられたことをきっかけに、自ら家事を始めたそうです。テレビで掃除の方法を見て、その通りにやってみたとのこと。
また、利用者さんは料理もできるようになっていました。これもまたテレビで見たようです。
いつもはヘルパーが作っていましたが、冷蔵庫には作り置きがいっぱいで「片づけていたら女房の料理本が出てきたからそれも読んで作った」とも仰っていました。
ご本人は特に自慢する様子もありません。
96歳になってから家事や料理ができるようになるなんて……正直驚きましたが、「やったら楽しくなってきてね」と、利用者さんは照れ笑い。
定期的にヘルパーが来ることは分かっているので、掃除や料理はやらなくてよかったはずなのに、やろうと思うその気持ちに感心しました。
何でも好奇心を持って楽しんでやること。それが健康長寿につながるのでは、と思った出来事でした。
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