遺族年金の支給日には、夫の仏壇に手を合わせるという訪問介護の利用者さん。
がんばって働いてくれた夫に感謝したいとの思いからですが、しばらくすると異変が……?
訪問介護の利用者さんは、そのほとんどが年金受給者です。
偶数月15日の年金支給日には、「ネットに入った進物用のリンゴを買いたい」「少しだけ高いお菓子を買ってきてほしい」など、いつもと違った注文で買い物介助が忙しくなることも。
これらは、お仏壇へのお供え物となることも多いのですが、“年金支給日のお供え”は、ある利用者さんを憂鬱にしてしまいました。
訪問するようになってからもう7年になる女性の利用者さん。よくお仏壇に手を合わせてお経をあげている姿を拝見します。
いつもはお仏壇の前でニコニコしているのですが、あるとき違った表情に……。
それは年金支給日のこと。始めはいつも通りだったのですが、時間が経つにつれて様子が変わってきました。
「あなたが仕事に行っている間、私はお義母さんと子供の世話を両方やらされてとっても大変で……」「ちょっとは家のことも手伝ってほしかったわ……」と暗い表情でブツブツ。
私に気づくと、照れ笑いを浮かべながら「夫はいい人なんだけど、ものすごく仕事人間でね。年金支給日には感謝しようと思って読経するけど、どうしてもストレスをぶつけちゃうの」とのこと。
利用者さんは遺族年金を受給していて、ご主人が生前に仕事をがんばったお陰で生活には困っていないのですが、しんどかった頃のことを思い出してしまったそうです。
高齢の方とお話しすると、よく20・30代くらいの若かった頃の話が出てきます。良いことも悪いことも、その頃の出来事は特に記憶に残っているようです。
利用者さんは、年金支給日は旦那さんに感謝したいけれど、「ちょっと言わせて……」という気持ちも強くなってしまったようでした。
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