総務省の推計によると、日本の65歳以上の人口は昨年9月の時点で3557万人だという。概ねその3割がターゲットとなる大きな施策だ。
低所得の高齢者の介護保険料を軽減する支援策が今年度から拡充される。生活保護を受けている人、住民税が非課税で年金収入が少ない人など1100万人超が対象。政府は年間でおよそ1400億円の公費を、介護保険の給付費とは別枠で新たに投入していくことを決めている。
財源は10%へ引き上げられる消費税の増収分。前倒しを図る市町村も出てくるかもしれないが、高齢者の介護保険料が実際に引き下げられるのは基本的に今年10月からとなる。今年度に充当される公費は半年分の約650億円だ。
厚生労働省は年度末に自治体へ通知を発出。この支援策の拡充を実現する政省令の改正を伝達し、事務的な説明もあわせて行った。介護保険最新情報のVol.705で広く周知している。
高齢者の介護保険料の全国平均額は、昨年度から2020年度までの第7期で月5869円。制度がスタートした当初(第1期:2911円)の2倍となっている。既に6000円を超えている市町村は多く、中には7000円台、8000円台に至るところも出てきた。負担感はかなり重くなっているが、給付費がこれから更に膨張していくのは不可避。保険料の上昇はしばらく続く見通しだ。
低所得の高齢者には従来から、それぞれの経済状況に応じた介護保険料の軽減策が実施されてきた。現行では最大で、毎月の支払いが基準額の45%まで割り引かれている(55%減)。
政府は今年度からこれを最大で30%まで拡充する(55%減→70%減)。拡充の範囲は所得区分の第3段階まで。それぞれの対象、引き下げ幅を表にした。実際に軽減される金額は、住んでいる市町村やその世帯の収入などによって違ってくる。
政府は消費税率を8%へ引き上げた際、所得区分の第1段階を現行の45%まで割り引く措置を先行して行った。今回の拡充も以前から計画されていたが、増税自体の延期に伴い繰り返し見送られてきた経緯がある。
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