昨年10月から新たに導入した福祉用具貸与の商品ごとの上限額について、厚生労働省は今年度の定期の改定を見送る方針を固めた。
今の8%から10%へ引き上げる消費増税を反映させる機械的な見直しのみ行う。新商品の上限額の設定は、今年度も3ヵ月に1回程度のペースで通常通り実施していく。社会保障審議会・介護給付費分科会の10日の会合で提案し、委員から大筋で了承を得た。
貸与価格に上限額を設けたのは、膨張を続ける給付費の適正化につなげることが狙い。「不当な高値をつける悪質な事業者がいる」といった指摘を受けたものだ。上限額は「各商品の全国平均額 + 1標準偏差」。厚労省はおおむね1年に1回の頻度で改定していくルールを決めたが、「施行後の実態を踏まえて検討していく」ともアナウンスしていた。
厚労省は先月、上限額の導入が与えた影響を探るための調査の結果を公表。高額な保険請求が完全に排除されたことが確認できたほか、74%の事業所が「収益が減少した」と回答していると報告した。商品カタログの価格修正・再印刷や事業所内のシステム改修が必要となり、経費が嵩んだところが多いことが明らかにされている。
厚労省はこれらを踏まえ、「引き続き影響を精査する必要がある」と判断。今年度は同様の調査を行い、定期の改定を見送ることにした。消費増税を機械的に反映させるのは10月から。担当者は「できるだけ早く新たな上限額を示せるようにしたい」としている。
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