介護保険の福祉用具貸与について、厚生労働省が給付の対象となる機器の拡大を検討している。【Joint編集部】
通信機能を備える機器が俎上に載っている。
例えば、認知症の高齢者の徘徊を感知する機器。現行のルールでは、通信機能の部分が“物理的に”分離できる場合に限って給付の対象となる。また、利用者の居宅から離れた場所にある端末との通信も認められていないなど、縛りが必ずしも時代に合っていない。
厚労省はこうした規制の緩和を検討する。利用者・家族にとって便利な通信機能を備える機器が増えていること、スマートフォンの普及で利便性が上がっていることなどを踏まえて議論を進める。
今月4日に開催した検討会では、見直しの方向性を提示した。
通信環境の整備にかかる費用(*)を切り離すことを条件として、通信機能の部分の物理的な分離を前提とする運用を改めたいと説明。通信を認める範囲も、居宅内にとどまらず居宅外まで拡げてはどうかとした。併せて、こうした方向性に沿った既存通知の一部改正も提案した。
* 例えば月々の通信料金やモデム・ルーター・スマホ・タブレットの導入費、アプリのサブスク料金など。
厚労省はこのほか、通信機能を備えた機器をうまく使いこなせない利用者のサポートも、場合によっては必要になるとの認識を示した。このため、福祉用具を選定するプロセスでケアマネジャーや福祉用具専門相談員などに、利用者・家族に説明して同意を得てもらうといった対応も考えられるとした。
今後さらに具体的なルールを詰めていく方針。厚労省の関係者は会合後、見直しの時期など今後の進め方について「丁寧に検討を深めたい」と明言を避けた。
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