緊急事態宣言が全国に拡大 介護現場、綱渡り続く

16日の政府対策本部(画像出典:首相官邸HP)

政府は16日、緊急事態宣言の対象地域を全国に拡大した。介護の現場では綱渡りの状況が続きそうだ。新型コロナウイルスに感染するリスクをできるだけ下げながら利用者の生活を支えていく、という非常に難しい役割を期待されている。【青木太志】

政府が定めた「基本的対処方針」では、インフラや物流・運送、食品供給、医療などと介護は同じカテゴリ。「継続が求められる事業」と位置付けられている。

厚生労働省は既に感染を防ぐ対策をまとめた通知を発出済み。その徹底を呼びかけている。

密閉、密集、密接の“3密”を避けること、手洗いや消毒を頻繁に実施すること、常にマスクをつけること、体調が悪ければ休むことなどが基本だ。事業者はこの間、やむを得ない理由で一時的に人員配置などの基準を満たせなくなってしまっても、直ちに違反として扱われることはない。

厚労省は通知で、「食堂や詰め所でマスクを外して飲食をする場合、他の職員と一定の距離を保つこと」も求めた。外部からの面会を原則として断ることも指示。家族が心配しているなど必要があれば、ビデオ通話で対応するよう促している。

訪問介護については、感染すると重篤化する恐れの強い職員をなるべく行かせないこと、可能な限り担当職員を分けて支援に入ることなどを要請した。ただ、ヘルパーは人手不足が深刻で高齢化もかなり進んでいる。実際にとり得る対策は限られるとみられ、課題は非常に大きい。現場への支援策の拡充が急務となっている。

■ 通所介護、報酬の特例が次々に

新型コロナウイルスの流行で最も大きな影響を受けているのが通所介護だ。感染を防ぐための“利用控え”が広がったほか、サービスを自主的に縮小している事業者も少なくない。今後の動向によっては行政が広く休業を要請することもあり得る。

厚労省は通所介護に対し、「可能な限り同じ時間帯、同じ場所での実施人数を減らすこと」と求めた。「声を出す機会を最小限にすること」「利用者同士の距離に配慮すること」なども呼びかけている。

あわせて、介護報酬の算定ルールの大胆な緩和も相次いで打ち出した。2時間未満のサービスや訪問サービス、電話による安否確認でも一定の対価を得られる特例を新設。これらを柔軟に使い、利用者の在宅生活を引き続き支えていくよう促している。

それでも現場の関係者からは、今の状況が長引けば中小・零細を中心に倒産や廃業に追い込まれる会社が続出する、との悲鳴が上がっている。既に融資や給付金など様々な支援策が用意されているが、今後、これらがどこまで拡大されるかに注目が集まりそうだ。例えば福岡市は、特養や通所介護、訪問介護、居宅介護支援などを対象として、1施設あたり15万円から150万円を給付する独自の取り組みを行うと発表している。

提供元:介護のニュースサイトJoint

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