新型コロナウイルスの流行を踏まえた介護サービス事業所の報酬、運営基準などの特例について、厚生労働省は今後しばらく存続させていく方針だ。【Joint編集部】
首都圏を中心に感染者が後を絶たず、早期に収束するめどが立たないため。当面のあいだ現場のリスク、負担は低減せず、サービスの利用を控えがちになる高齢者、家族の傾向も大きく変わらないなど、影響が長期化していくと睨んでいる。
「現時点で特例を終える時期を明言するのは難しい」。
1日、取材に応じた担当者はそう説明した。秋以降に感染の第2波、第3波が襲来すれば、廃止の時期は一段と後ろ倒しになるとみられる。
そもそも、存廃の判断が個々の保険者に委ねられていく特例も少なくなさそうだ。厚労省はこれまでも、例えば自然災害の被災地の事業所などに幅広く特例を認めてきているが、その“終了宣言”まではしないケースが少なくない。今回も基本的に同様の対応となる可能性が高い。
一部の特例の明確な恒久化を求める声もある。国の審議会でも現場の関係者が提案しており、来年4月の報酬改定をめぐる論点の1つとなる公算が大きい。改定のタイミングで中身が見直される特例も出てきそうだ。
コロナ禍を受けた特例は、事業所の感染リスクや経営悪化、人手不足などを考慮したものが中心。厚労省はヘルパー以外の職員でも訪問介護を担えるようにしたり、通所介護が平時より多くの報酬を得られるようにしたりした。サービス担当者会議のオンライン開催を許容するなど、ICTの積極的な活用を促す観点からも複数の措置を講じている。
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