新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえた通所介護の報酬の特例について、厚生労働省は9日、来年度から新たな仕組みへ切り替えることを提案した。【Joint編集部】
利用者数が減ったか否かに着目している点が代替策の特徴。感染症や災害などで実際に影響を受けた事業所が、より高い基本報酬を得られるようにしてはどうかという。
具体案は事業所の規模によって異なる。以下の通りだ。
大規模型 = 前年度の平均延べ利用者数ではなく、延べ利用者数の減が生じた月の実績を基礎として、事業所規模別の報酬区分の決定を受けられる(より高い通常規模型の報酬区分などへ移れる)。
通常規模型・地域密着型 = 延べ利用者数の減が生じた月の実績が、前年度の平均延べ利用者数から一定割合を超えて減っている場合、利用者1人あたりの経費の増加に対応するための加算を一定期間受けられる。この加算は、区分支給限度基準額の算定の対象外。
厚労省はいずれの措置も、利用者数が減った月の翌月に各事業所から届け出てもらい、翌々月から適用することを想定している。現下のコロナ禍による利用者数の減少については、「年度当初から即時的に対応する」とした。
この代替策を導入する場合、現行の特例報酬(*)は今年度いっぱいで廃止する考え。通所介護の訪問サービス、電話による安否確認の特例は存続させる方向で検討していく。
* 現行の特例報酬
毎月一定の回数に限り、実際にサービスを提供した時間の報酬より2区分上位の報酬を算定できる、というもの。運営基準などの臨時的な取り扱いの通知「第12報」を指す。
社会保障審議会・介護給付費分科会で説明した。委員からは、「事務が煩雑になる」「利用者負担が生じる」などの慎重論も噴出した。これも踏まえ、厚労省は今後さらに中身の調整を進める構え。年内には大枠の方針を決定する。
代替策のルールの詳細は年明けに示す。厚労省の担当者は会合後、「介護現場の皆様が困らないよう、できるだけ早くお知らせできるように努力したい」と話した。
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