厚生労働省は27日、来年度の介護報酬改定に向けた協議を重ねている審議会(社会保障審議会・介護給付費分科会)で、通所系サービスの送迎を俎上に載せた。【Joint編集部】
より効率的で利便性の高い仕組みを作れるようにする観点から、通所介護などの現行ルールの明確化を図ると説明。送迎を外部へ委託している場合も含め、他の事業所の利用者も一緒に乗せる運用が可能なことを明示する案を示した。
複数の事業所が連携した“共同送迎”などの形を国がはっきりと認める、という意味合いがある。厚労省はドライバーの確保が難しくなっている現状を考慮した。責任の所在を明確にすることなどを要件とする方針。今後、運営基準の細部を詰める検討を進める構えだ。
今も“共同送迎”などの形が禁止されているわけではないが、通所系サービスでは関連するルールが必ずしも明確に定められていない。このため現場の関係者から、「制度が曖昧で取り組みづらい」「自治体によって解釈・対応が違う」などの声があがっていた経緯がある。
厚労省は審議会で、他事業所の利用者が送迎車に同乗することを明示的に可能とするケースとして、
◯ 他事業所の職員が自事業所と雇用契約を結び、自事業所の職員として送迎を行う場合
◯ 委託契約(共同での委託を含む)に基づき送迎を委託している場合
などを提示。こうした“共同送迎”に送迎減算は適用されない、との認識(*)も改めて示した。このほか、併設・隣接の障害福祉事業所が介護事業所と雇用契約や委託契約を結ぶ場合は、障害者が同乗できることを明確化する意向も示した。
会合では委員から、厚労省のこうした提案に賛同する声があがった。
全国知事会を代表して参加した長崎県の担当者(知事に代わり参考人出席)は、「責任の所在を明確化する方法などが分からない事業所もある。この取り組みが広がっていくよう、具体的に問題となり得るケースや責任分担のモデル事例などを示して欲しい」と要請。民間介護事業推進委員会の稲葉雅之代表委員は、「利便性を持った使いやすいルールにして頂きたい」と念を押した。
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