介護の臭いを我慢しない!高齢者の臭いケアは家族のストレスケアに

介護の臭いを我慢しない!高齢者の臭いケアは家族のストレスケアに介護の臭いを我慢しない!高齢者の臭いケアは家族のストレスケアに
はーとん

介護の臭いに悩む家族が意外と多いって知ってた?

母

そうなの!? まだ介護はしたことないから未知の世界だけど、どんな臭いに悩んでいるのかしら?

はーとん

介護にはいろんな臭いが発生することもあるっポ。臭いの原因や対策方法を紹介するよ!

多くの人が悩む「介護の臭い」とは?ストレスの原因にも

はーとん

介護の臭いにどのくらいの人が困っているのかな?

エステーが、自宅で介護をする人に「介護の困りごと」についてアンケート調査を行い、以下のような結果が報告されています。

1位 自分の精神的負担(63.6%)
2位 自分の身体への負担(37.5%)
3位 要介護者の食事の準備(30.8%)
4位 介護時の臭い(29.3%)
5位 要介護者の衣類や寝具の洗濯(22.1%)
6位 要介護者の部屋の清掃(20.6%)

このアンケート結果を見てみると、もっとも多いのは「自分の精神的負担」との答えです。次に「自分の身体への負担」、「要介護者の食事の準備」の回答が続きます。
1位の「精神的負担」や2位の「身体への負担」については、介護者の負担を考えると予想通りの結果といったところでしょうか。

また、高齢者の食事はその人の歯の状態や嚥下(えんげ:噛んだり飲み込んだりすること)のレベルに合わせて柔らかくしたり、細かく刻んだり、ミキサーにかけたりしなくてはならないため、3位に「食事の準備」がランクインしたのも納得の結果といえるでしょう。

次いで、4位にランクインしたのが「介護時の臭い」です。在宅介護をする多くの人が、5位と6位の洗濯や掃除をする家事負担よりも介護時の臭いに悩んでいることがわかります。

では介護時の臭いとは、具体的にどのような臭いなのでしょうか。介護の臭いと聞くと「排泄の臭い」が真っ先に思い浮かびますが、おむつや排泄物の臭い以外にも介護者を悩ませる臭いはさまざまあります。

エステーによると、介護時の臭いとは「便臭」や「尿臭」などの排泄臭に加え、「汗臭」「加齢臭」、そして、湿布の独特な臭い「湿布臭」の5つが考えられるということです。
これら5つの臭いが混ざり合った「複合臭」が介護をする部屋には漂っています。この臭いを介護空間の「複合臭」と呼んでいます。

人によってはこの複合臭に対し、吐き気をもよおしてしまうこともあるので深刻です。一般的に、臭いに対する悩みは、要介護者本人にはもちろん他人にも伝えづらいため、介護者は余計にストレスを感じます。
もちろん、介護をされる人にとっても臭いはストレスになる場合があります。

母

こんなにもいろんな臭いが混ざっちゃうのね! ちょっと辛いかもしれないわ……。

なぜ臭う?介護の臭いの原因

はーとん

介護のストレスになる臭いの原因には、どんなものがあるのかな?

高齢者の体臭

まず、介護者を悩ませるのは、汗や頭皮の臭いなど介護される人の体臭です。加齢に伴って発生する加齢臭もあります。
介護されている高齢者のなかには毎日入浴をしない人も多いので、一般的なお年寄りよりも体臭がきつくなりがちです。

また、手や足が麻痺していたり、拘縮(こうしゅく:関節が硬くなり動かしにくいこと)していたりすると、動かしにくい部分に汚れや汗が溜まり臭いやすくなります。
ほかにも、褥瘡(じょくそう:床ずれのこと)があると皮膚状態が悪化し、褥瘡部から臭いが発生することもあります。

便臭や尿臭などの排泄臭

おむつやポータブルトイレを使用している場合、部屋に排泄臭がすることは多いです。しかし、使用済みのおむつやポータブルトイレの臭いだけでなく、ベッドや床、壁に染み付いた尿臭が部屋を漂うこともあります。

また、トイレで排泄している人の場合でも排泄後にきちんと拭けていなかったり、下着を汚してしまったりする場合は、それも臭いの原因になります。

衣類や寝具の臭い

外出の機会がないと部屋着のまま過ごし、部屋着のまま寝る高齢者も少なくありません。また、食事がうまく食べられず服にこぼしてしまう要介護者の場合は、服も汚れがちです。
その結果、衣類に食べかすが残り臭いの原因になります。

さらに、高齢者には寝たきりの人をはじめ、横になる時間が長い人も多いので、肌に直接触れる枕やシーツなどの寝具は臭いがちです。食事や排泄をベッド上でしている人の場合は、なおさら臭いやすくなります。

口臭

介護者を悩ませる臭いには、要介護者の口臭もあります。
加齢に伴い、唾液が減ったり虫歯や歯周病が進行したり、胃腸の機能が低下したりするため、口臭の原因は人それぞれです。入れ歯の手入れが行き届いていない可能性も考えられます。

高齢者のなかには耳の遠い人も多く、顔を近づけて話すことも少なくありません。そのため、要介護者に口臭があると介護者はつらく、強いストレスを感じます。

介護する部屋の臭い

要介護者の過ごす部屋は、上記のような高齢者特有のさまざまな臭いが混ざり合い、こもりがちです。
その結果、部屋全体が臭うようになります。

母

こんなにも臭いの原因があったら大変だわ! 介護の臭いをおさえる方法はないのかしら。

どうしたらいい?介護の臭いの対策方法

はーとん

介護の臭いの対策方法を紹介するっポ!

体臭の対策

高齢者の体臭対策には入浴の回数を増やすことが効果的です。入浴に対する介護者の負担が大きいなら、訪問介護やデイサービス、訪問入浴を利用する方法もあります。

そのほか、清拭(せいしき:体を拭くこと)をする方法も有効です。清拭は全身行うのがよいですが、介護者の負担が大きい場合は陰部や首、わきの下など臭いやすいところを拭くだけでも効果が期待できます。

おむつの臭い対策

基本的なことですが、おむつはこまめに取り替えることが大切です。そして、おむつ交換の際は陰部を清拭し、清潔を保ちます。特に、大便のときは洗浄ボトルを利用し、お尻や陰部を洗うとよいでしょう。

高価なものを用意する必要はありません。100円ショップで売られているプラスチック容器や台所用洗剤の空き容器で十分です。
ペット用シーツなどをお尻の下に敷き、温かいお湯でお尻を流せば臭いは軽減します。要介護者もスッキリするので一石二鳥の方法といえるでしょう。

使用済みのおむつは新聞紙等で包んでからビニール袋に入れ、蓋つきのごみ箱に捨てると臭いにくくなります。

ポータブルトイレの臭い対策

ポータブルトイレは使用したらすぐに片付けることが大切です。排泄したままの状態で放置していると臭いがひどくなります。使用したらすぐに片付けられるよう、本人に「使ったら教えて」と伝えておくとよいでしょう。

排泄に失敗したときにすぐに掃除ができるよう、トイレの下に防水マットを敷くのも臭い対策になります。
あらかじめポータブルトイレに防臭液を入れておくのも効果的です。ただし、認知症の症状によっては防臭液を飲んでしまったり、こぼしてしまったりする心配もあります。そのため、防臭液の利用には注意も必要です。

口臭の対策

お年寄りの口臭対策には食後の歯みがきが有効です。毎食後の歯みがきが難しい場合は、口をすすぐだけでも効果があります。

一度歯科受診をして、歯の状態を診察してもらうのもおすすめです。本人の状態に応じて適切なアドバイスがもらえます。
そのほか、口や舌などを動かす「嚥下体操」をして唾液の分泌を促すのも口臭予防になります。

介護する部屋の臭い対策

体臭、排泄臭、口臭など要介護者の過ごす部屋は臭いがこもりやすいため、こまめな換気が必要です。また、空気清浄機の活用も効果があります。
さらに、肌に触れる回数の多い枕やシーツは雑菌が繁殖しやすいため、抗菌防臭加工が施された商品を選ぶと臭い対策に有効です。

一方、部屋に消臭剤を置くのも臭い対策になりますが、本人の自尊心を傷付けないよう配慮が必要です。
そして、ポータブルトイレの消臭液と同様、認知症の人の部屋に使用する場合は、本人の手が届かない場所に置くなどの配慮が欠かせません。

母

すぐに取り入れられそうな方法もあるわね。試してみる価値はあるんじゃないかしら。

介護の臭いケアに!お役立ちグッズ8選

はーとん

ここでは、在宅介護に役立つ臭いの対策グッズを紹介するっポ。

01.マスク

臭い対策に役立つのが、「マスク」です。特に、排泄介護時にマスクを使うと臭いが軽減します。
マスクに好きなアロマオイルをスプレーしておけば、消臭効果だけでなく癒し効果も期待できるでしょう。

02.清拭剤

体を清拭する際に「清拭剤」を使用すると、汚れが落ちやすくなるため臭い対策に有効です。
清拭剤には、泡で出てくるものや保湿効果があるものまでいろいろな種類があります。ただし、なかには刺激の強い成分を含む清拭剤もあるので、使う人の肌の状態に合わせて選ぶことが大切です。

03.水のいらないシャンプー

入浴する回数が少ない高齢者の場合は、頭皮も臭いやすくなります。「水のいらないシャンプー」を使えば入浴しなくても洗髪ができます。

使い方は、頭皮や髪にスプレーして揉みこんだ後タオルで拭き取るだけです。簡単に頭皮や髪の汚れが落とせるので、入院中の人やキャンプをする人にも人気があります。
ベッド上でも使えるため、寝たきりの人にもおすすめです。

04.おむつ用消臭袋

赤ちゃん用グッズとして販売されているおむつ用消臭袋は、在宅介護にも役立つ商品です。この消臭袋は、外出中に赤ちゃんの使用済みおむつを持ち歩くことを想定して作られているため、高い消臭効果があります。
使用済みのおむつを消臭袋に入れてから処分すれば、排泄臭が軽減するはずです。

05.ポータブルトイレ用洗浄液

ポータブルトイレに入れておくことで尿臭や便臭を抑えることができます。なかには、排泄物の色が確認できるよう無色タイプのものもあります。
ほとんどの洗浄液が排泄物と一緒にトイレに流せるので後処理も簡単です。

06.口臭対策グッズ

お年寄りを対象とした口臭対策グッズも数多く販売されています。口の中を潤すスプレーや歯みがき用ウェットティッシュ、スポンジブラシ、さらに、お腹の中から口臭を予防するサプリメントもあります。
いろいろな口臭対策グッズがあるので、気になる商品を試してみるのもよいでしょう。

07.介護用の消臭剤

介護特有の臭いを対象とした部屋用の消臭剤もあります。一般的な消臭剤と違い、排泄臭や体臭などを消臭する効果に特化した消臭剤です。枕やシーツなどに直接スプレーして臭いを分解するタイプもあります。

08.空気清浄機

空気清浄機には脱臭機能だけでなく、除菌やハウスダストを除去する機能が付いているものもあります。
介護される高齢者は部屋で過ごす時間が長いため、部屋の空気を清潔に保てるのは大きなメリットといえるでしょう。

母

空気清浄機はちょっとお金がかかっちゃうけど、他のグッズは高くないから取り入れやすそうね。

我慢しないで!介護の臭いは対策できる

介護する多くの人を悩ませる介護時の臭い。なかには、「臭いから」という理由で要介護者の部屋には必要最低限以外入らないようにしている人もいます。
ストレスの多い在宅介護のなかで、介護者と要介護者が気持ちよく生活するためには臭い対策も重要です。
介護用の防臭グッズも多数販売されているので、我慢せず対策することをおすすめします。

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著者:柴田 まみ

著者の画像

著者:柴田 まみ

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介護福祉士、介護支援専門員(ケアマネジャー)、社会福祉主事任用資格保有
特別養護老人ホームのユニットリーダーや、デイサービスの生活相談員に従事し高齢者福祉に携わる。特にデイサービスでは、介護をするご家族とのやり取りから在宅介護の難しさを実感。現場での経験を活かし、現在、介護関連の記事を執筆中。できるだけわかりやすい言葉を使って、介護の知識がない人でも理解しやすい文章を心がけている。座右の銘は、継続は力なり!

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