精神科病院にはいろんな患者さんがいます。今回紹介するのは認知症のある高齢女性のツネさん。とてもかわいらしく素敵な女性ですが、ちょっと困った一面も?
精神科病院で介護士として働く私は、日々さまざまな患者様と接します。認知症の病棟は別にあるのですが、ツネさんという認知症患者の方とはよくお話しさせてもらいます。とてもかわいらしく、せわしない業務中でも癒しをもらえるような方です。
ツネさんは、手先を使う作業療法として折り紙をはじめました。それにハマったようでひたすら鶴を折り続けています。シルバーカーにはご自分で折った鶴がたくさん入っていて、感謝の言葉と共に職員やほかの患者様に配るのです。
気持ちはとても嬉しいのですが、毎日のようにたくさんいただく鶴を全部とっておくわけにもいかず、職員は複雑な心境に……。やんわりと断っても、ツネさんは聞いてないのか聞こえていないのか、そのまま置いていってしまいます。
折り紙が足りなくなると他の患者様にもらって、そのお返しに鶴を置いていくというループが生まれます。トラブルの元になるので物のやり取りは禁止しているのですが、なかなか守ってもらえません。
やめてほしいとお伝えしても「ちゃんと払っているでしょ!」と不機嫌になってしまいます。折り紙は仕事、折った鶴はその対価でお金のみたいなものだと考えているようなのです。
ツネさんは、いつもまわりの職員や患者様に感謝して、「ありがとう」と鶴を配るような優しい方です。困った言動もありますが、失礼ながらとてもかわいく思えます。
もらった鶴は、申し訳ないと思いながらも持ち帰ってこっそり処分しています。
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