入院中の母親のために、病院には2週間に一度のタイミングで着替えを持ち込んでいました。そのときに病院から渡される黒いビニール袋……それは“あること”を意味していました。
くも膜下出血で手術をした母はほぼ寝たきりとなり、自分でトイレに行くことができませんでした。高次脳機能障害や言語障害があるで、おむつを交換するタイミングであっても自分で看護師さんを呼ぶことができません。
母の着替えは2週間に一度の頻度で病院に持ち込み、着用済みの衣服と交換していました。その際に不安だったこと……それは着用済みの洗濯物に便が漏れていないかどうかです。
普段は半透明のビニール袋に入れた洗濯物を渡されます。しかし、たまに黒い消臭ビニール袋を渡されることがあり、それは着替えに便が漏れていることを意味していました。
母の介護に関していろんなことを乗り越えてきましたが、これだけは慣れません。正直、子どもとしては気が滅入ります。
陽気でおしゃべり好きだった母がトイレを自分でできなくなっていること、便を漏らしても何も感じなくなっていることに、何度も心が折れそうになりました。
でも、暗い気持ちのままでいても事態は何も好転しません。
開き直るくらいの気持ちで、いかに便のついた着替えを新品同様にするかに注力することで、モチベーションを上げることにしました。
便利なことに、今はネット上にたくさんの情報があります。付着した便の落とし方、便の匂いの消し方などの情報収集には困りませんでした。
洗剤の種類や洗い方の工夫で、便のついた痕跡をいかに消すか。そうやって楽しむことで乗り越えられたのだと思います。
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