自転車で移動するヘルパーにとって寒さは大敵です。
雪の降るある日、ヘルパーは震えながら利用者さんのお宅を訪問しますが……雪国生まれの高齢者は寒さ知らずの強者でした。
まだまだ寒い日が続きます。私が暮らす地域では雪はあまり降りません。ですが、ヘルパーは自転車での移動が基本なので、雪が降ると滑りますし、急な降雪があると訪問に間に合わないこともあるので大変です。
幸いなことに利用者さんは優しい方が多く、遅れても「大変だったでしょ」とねぎらってくださいます。
雪のせいで少々遅れてしまったある日、利用者さんのお宅を訪問すると「ほら、ストーブあたって! 」と気づかってくださいました。
しかし、その言葉に甘えてしばしストーブに手を当てていると、「だらしないわね……」と一言。
利用者さんの足元を見ると、なんと素足です。「今日は雪だけどぜんぜん寒く感じない」とのことです。
私は「すごく寒いですよ……」と口に出してから、ふと思い出しました。この利用者さんはたしか東北の出身です。
「そういえばご出身は雪国でしたね」と言うと、「こっちに嫁入りしてからずっとコレよ」と素足を上に掲げました。見るからに寒そうで、見ているだけでぞくっとします。
それから、「私の故郷では毎日のように雪が降っていた。小さいときはイヤになるぐらい雪かきをした」と思い出も話してくれました。
私からすれば白銀の世界はちょっとうらやましいですが、雪国生まれの利用者さんにとって雪は迷惑なものでしかないようです。
「私は寒いと動けないので、カイロを腰と背中に貼っていますよ」と言うと、利用者さんは「あなた年寄りね」「私より体年齢が上なんじゃない?」と笑っていました。
素足・薄着で過ごしている利用者さんを見ていると、冬の間はもしかしたらその通りかも……と感じてしまいました。
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