大企業の健保組合で組織する健康保険組合連合会(*)が9日に公表した将来推計 − 。加入するサラリーマンらが負担する介護保険料は、これから急激に上昇していくと見込まれている。
* 健康保険組合連合会
大企業などが設立する健保組合の連合組織。加入者の総数は国民のおよそ4分の1。サラリーマンやその家族ら約3000万人にのぼっている。
健保連によると、昨年度の加入者1人あたりの介護保険料は年間で平均9万6544円(労使折半前)。制度がスタートした2000年度(4万1306円)の2.3倍となっている。
2022年危機に向けた健保連の提案・健保組合決算見込みを発表
今年度は初めて10万円を上回るという。昨年度から4368円増え、10万912円になると報告されている。
今後はさらに大きく上がっていく見通し。健保連は今回、団塊の世代が75歳に到達し始める2022年には13万4823円になるとはじいた。ひと月あたりでみると1万1235円。昨年度と比べると39.6%の負担増になる計算だ。
高齢化に伴って介護保険の給付費が増えていくことが最大の要因。個々の負担能力に応じた支払いを求めていく制度改正(総報酬割の導入)の影響も小さくない。
このほか、健康保険料も大幅に上がっていくとみられている。健保連によると、サラリーマンなどの給料に占める医療、介護、年金をあわせた保険料の割合は、2022年度に初めて平均30%を超える見通しだ。
健保連はこれまで、介護保険制度の思い切った見直しを繰り返し主張してきた経緯がある。例えば、軽度者を対象とした生活援助などの給付を縮小したり、自己負担を原則2割へ引き上げたりすることを提案。協会けんぽや経団連、商工会議所など“現役サイド”で足並みを揃え、政府に実現するよう働きかけている。
9日に会見した佐野雅宏副会長は、「現役世代の負担はもはや限界」と強調。「今後、高齢世代への所得移転が更に進んでいく。現役世代を守るべきだ」と訴えた。
一方、利用者の立場を代表する団体からは高齢者の負担増などに強く反対する声があがっている。政府は今年の年末に当面の制度改正の方向性を決める予定。膨張する給付費を誰がどう賄っていくか、関係者を二分する激しい論争が繰り広げられそうだ。
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