10月1日から消費税率が10%となった。引き上げは2014年4月以来、5年半ぶり。これにより生じる税収の増加分は、財政の健全化や社会保障など制度の充実のために使われる。
介護保険にも消費増税のリソースが充当される。用途は大きく2つ。介護報酬改定と介護保険料の軽減だ。加藤勝信厚生労働相は1日の会見でこうした施策について、「着実に効果を出していけるよう努力していく」と述べた。
今回の消費増税で見込まれる税収の増加分は、およそ5.6兆円。政府は半分の2.8兆円を、国の借金の返済など将来世代の負担軽減に回すことにした。
残りの半分は制度の充実だ。目玉は少子化対策で、幼児教育・保育の無償化や待機児童の解消に向けた体制の整備、高等教育の無償化などに約1.7兆円が投じられることになっている。
介護報酬改定の柱は、やはり介護職員の処遇改善。ここには毎年約1000億円、保険料もあわせると約2000億円の公費が振り向けられる。
厚労省は今月から、新たな「特定処遇改善加算」を導入。リーダー級の介護福祉士などに重点化して賃金を引き上げる策を講じた。「現場で長く頑張っても給料が上がっていかない…」。そんな不満を解消して仕事の魅力を高め、人材の確保につなげる狙いがある。
厚労省はこのほか、消費増税の影響でどうしても増えてしまう事業所の出費を補填する観点から、各サービスの基本報酬を数単位ずつ引き上げた。改定率は+0.39%。
介護保険料の軽減も、制度充実のメインメニューの1つと言える。年金収入が少なかったり生活保護を受けていたりする高齢者、約1100万人が対象。65歳以上のおよそ3割にあたる規模だ。毎年約1400億円が充てられる。
高齢者の介護保険料は上がり続けており、昨年度から2020年度までの第7期は平均で月5869円。既に6000円を超えている市町村は多く、中には7000円台、8000円台に至るところも出てきた。
低所得の高齢者にはこれまでも、個々の経済状況に応じた介護保険料の軽減が行われてきた経緯がある。先月までは最大で、毎月の支払いが基準額の45%まで割り引かれていた。政府は今月から、これを最大で30%(70%減)まで拡大。生活の支援を一段と強化することにした。
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