共同通信は5日夜、次の介護保険制度の見直しに向けた協議を重ねている厚生労働省が、所得の高い高齢者を対象に自己負担の月々の上限額を引き上げる方針を固めたと報じた。
高額介護サービス費の仕組みを見直し、2021年度にも導入するという。膨張する給付費の伸びを抑え、制度の持続性を高める狙いがあるとみられる。
介護サービスの利用者が支払う自己負担には、個々の所得などに応じて上限額が設定されている。ひと月に支払った合計が上限額を上回った際に、その超過分を後から払い戻す制度が高額介護サービス費だ。
現行の上限額は3段階。生活保護を受けている人などが1万5000円、全員が住民税を課税されていない世帯などが2万4600円、それ以外が4万4400円となっている。
厚労省は前回の制度改正でも上限額の見直しを実施。それまでは3万7200円だった住民税を課税されている世帯など(一般)を、現役並みに所得がある世帯と同じ4万4400円とした経緯がある。
厚労省は今後に向けて、現役並みに所得のある世帯を新たに細分化する方向で検討を進めているようだ。現在は課税所得145万円以上(年収383万円以上)などの世帯を1つのグループとして扱っている。
共同通信は今回、年収が約770万円以上ある世帯の上限額を9万3000円へ、約1160万円以上ある世帯の上限額を14万100円へ引き上げると伝えた。医療保険の高額療養費を一部踏襲した区分設定だ。
高額介護サービス費をめぐっては、日本経済新聞が先月25日の朝刊で、「厚労省と財務省はまず現役並み所得とみなす区分を増やす」と同様の趣旨を報じていた。これで負担増となるのはおよそ10万から20万人、との見方も伝えられている。
政府内ではこのほか、自己負担の2割、3割の対象者を拡大することも検討されている。財務省は今週中に改めて提言を行う予定。官邸に新設された「全世代型社会保障検討会議」でも取り上げられる見通しだ。与党内の調整も近く本格化する。厚労省は年内に方針を固める考え。
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