居宅介護支援のケアマネジメントでも利用者から自己負担を徴収し始める案について、厚生労働省は16日、2021年度に控える次の制度改正での導入を見送ることに決めた。
種々のサービスを過不足なく適切に提供していくうえでデメリットの方が大きい、という慎重論に配慮した。第8期の計画期間(2021年度から2023年度)は現行の10割給付を維持していく。
都内で開いた社会保障審議会・介護保険部会の会合で、以下のように議論を整理する意向を示した。
「利用者やケアマネジメントに与える影響を踏まえながら、質の高いケアマネジメントの実現や他のサービスとの均衡など幅広い観点から引き続き検討を行うことが適当」
過去の制度改正の時と同様に、結論を先送りして導入を避ける形をとった。来週にまとめる審議報告に反映させる。
この日のディスカッションでは、介護保険料を負担している現役世代や企業の立場を代表する委員などから、自己負担を早期に導入するよう求める声が改めてあがった。このテーマは今後、2024年度以降を見据えた動きの中で再び俎上に載せられることになる。
導入を支持する委員はこれまで、「現役世代や中小企業の負担はもはや限界だ」「能力のある人にはできるだけ負担してもらいたい」などと繰り返し主張してきた。
一方で導入に反対している委員は、「利用控えが生じる」「利用者・家族の言いなりになるケースが増えてしまう」「セルフケアプランが多くなり、必ずしも自立支援につながらないサービス利用が広がる懸念がある」などと抵抗してきた。
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