2021年度に控える次の制度改正に向けて会合を重ねてきた社会保障審議会・介護保険部会が27日、これまでの議論を整理した意見書をまとめた。
今後、厚生労働省はこれに沿って細部を詰めていく。年明けの通常国会に介護保険法や社会福祉法などの改正案をまとめて提出する方針。
総じて言うと小幅な見直しとなった。
最大の焦点だった利用者の自己負担割合の引き上げは見送り。要介護1、2の訪問・通所介護を市町村の総合事業へ移す案や、居宅のケアマネジメントで新たに自己負担を徴収し始める案も、今回は採用されなかった。
「介護離職ゼロ」を掲げる政府が支配的だった慎重論に配慮した形。現場の関係者からは安堵の声も出ている。給付費の膨張が加速すると懸念する財務省や経済界は不満を強めており、次々回の2024年度改正をめぐる攻防は一段と激しくなりそうだ。
今回の意見書には、介護施設の食費・居住費の負担を軽減するための補助(補足給付)を一部で縮小することや、高所得層の自己負担の上限額を引き上げることが明記された。厚労省はこれらの実施時期を来年末までに決める。2021年の4月か8月が有力。
意見書にはこのほか、介護予防の取り組みを現場に促すインセンティブの仕組みを強化したり、総合事業の対象者や価格設定のルールを弾力化して自由度を高めたりすることも盛り込まれている。
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