厚生労働省が当面の課題や重点施策などを全国の担当者と共有するために17日に開催した「部局長会議」− 。介護保険を所管する老健局の大島一博局長は、介護予防の積極的な取り組みなどを自治体へ促す「インセンティブ交付金(*)」について説明した。
昨年末の予算編成過程で、来年度から財源の倍増が実現する見通し(200億円→400億円)となったことを改めて報告。増額分の200億円をすべて、介護予防や健康づくりを推進する目的で集中的に投下する意向を明らかにした。
* インセンティブ交付金
自治体の努力や成果などに応じてお金が配分される点が特徴。国が都道府県向け、市町村向けの評価指標を定めており、その採点結果で交付額の多寡が決められる。地域包括ケアの構築や介護予防、ケアマネジメントの質の向上などで「頑張ったところが報われる」仕組みとして、2018年度から創設された。自治体はもらったお金を保険料の軽減などに活用できる。政府は昨年末、交付金の財源を今の200億円から400億円へ倍増させる来年度予算案を閣議決定した。
厚労省は現在、インセンティブ交付金の評価指標のアップデートに向けた検討を進めている。来年度から適用する新指標を近く公表するという。
増額分の200億円は、この新指標のうち介護予防や健康づくりにつながる重要項目のみに限定して投じていく。例えば、地域の“通いの場”の効果的な開催などをとりわけ高く評価する構えだ。重要項目とそうでない項目とで得られるリターンに差を設ける。
自治体サイドからみると、こうした重要項目を着実にクリアすることが非常に大事となる。“通いの場”の展開に注力する市町村が以前より増え、現場の関係者にも相応の影響が及ぶことになりそうだ。
インセンティブ交付金は現在、都道府県分のリソースが10億円、市町村分のリソースが190億円。厚労省は400億円になってもこの比率を変えず、都道府県分を20億円、市町村分を380億円とする方針。
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