厚生労働省は来年度から、介護サービス提供体制の強化を図る目的で47都道府県に設置している基金(地域医療介護総合確保基金)のメニューを大幅に拡大する。【Joint編集部】
「介護離職ゼロ」の実現へ受け皿の整備を加速させることに加え、サービスの質の向上や人材の確保、労働環境の改善などにそれぞれ役立ててもらう考え。全国の担当者を集めて17日に開催した「部局長会議」で明らかにした。
「基金は有力な財源。有効活用を是非お願いしたい」。説明を行った老健局の大島一博局長はそう呼びかけた。
この基金は消費税率の引き上げによる増収分を使って創設された財政支援制度。あらかじめ国が選定している政策メニューの中から、市町村などが地域の実情に応じて使途を決める仕組みだ。
今年度のリソースは介護分だけで総額824億円。政府は昨年末に来年度も同額とする計画を掲げた。824億円のうち3分の2は国が、3分の1は都道府県が工面する。
厚労省は来年度から、市町村などが選べる政策メニューを大幅に増やす方針。
例えば施設・居住系サービスの整備の後押し。従来からの特養や老健、グループホームなどに加えて、新たに介護付きホーム(特定施設)も対象に含める。都市部を中心として多様な介護ニーズの受け皿となっている現状を考慮した。開設準備経費に補助を出せるようにするほか、主に都市部で定期借地権設定のための一時金支援なども行えるようにする。
あわせて、多床室のプライバシーを保護するための改修を行う施設やロボット、センサー、ICTなどを導入する施設への補助についても、使い勝手を高める観点から要件を緩和する。
人材の確保に向けては、通いの場や認知症カフェなどにコミットして運営を手伝う人に対するボランティアポイントを、新たに基金の財源を使って出せるようにするとした。
厚労省はこのほか、介護職員の仕事の悩みを聞く専門の相談窓口を設置する経費を補助したり、ヘルパーに同行者をつけるなどハラスメント対策に要する経費を補助したりすることも、来年度から基金の政策メニューに加える意向を示している。
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