今後の制度改正の大きな方向性を論じる「全世代型社会保障検討会議」− 。介護の生産性向上がテーマとなった19日の会合で、政府はセンサーやAI、ICTなどを活かした業務の効率化の後押しに一段と力を入れる方針を確認した。【Joint編集部】
あわせて、エビデンスを確かめつつ介護報酬や人員配置基準の見直しを検討していくことでも一致した。
特別養護老人ホームなどの施設の人員配置基準は現在3対1(入所者3人に対し職員1人)。ただし、サービスの質を担保するためにより多くの職員を配置しているところが多く、実際の平均は概ね2対1となっている。
政府はこの日、センサーなどのテクノロジをうまく使って2.8対1の人員配置を実現している施設の例を紹介。今後の厳しい人手不足なども念頭に、まずは3対1の人員配置を広く一般的なものとしていきたい考えを示し、「もう一段のイノベーションが必要」と指摘した。
加えて、施設などに対する設備投資への補助を拡充していく計画を説明し、今後の人員配置基準の見直しを論点にあげた。
会議の有識者からは人員配置基準の緩和を求める声があがった。
SOMPOホールディングスグループの櫻田謙悟CEOは、「4対1の人員配置を実現すれば2倍のマンパワーを創出できる(現在は概ね2対1)。施設を今の半分の人数で運営するような現場革新と規制緩和を進めるべき」と持論を展開。「現場を全く新しい体制に変革させる必要がある。事業者が現行の人員配置基準にとらわれずに生産性向上に取り組める環境を整備すべき」と注文した。
このほか、複数の有識者がこうした構想に賛同する意見を述べた。
人員配置基準の見直しを検討していくことは、会議が今年夏にまとめる最終報告に盛り込まれる見通し。今後の介護報酬改定をめぐる議論では、具体的な施策を打てるかどうか、エビデンスが検証されることになりそうだ。
関連記事
新着記事