介護・福祉職員の賃上げに向けて昨年10月に創設された特定処遇改善加算について、導入当初の取得率が22日に分かった。【青木太志】
介護報酬の特定処遇改善加算を算定した施設・事業所が全体に占める割合は、昨年10月が53.8%、11月が56.4%。9割を超えている既存の処遇改善加算と比べ大幅に低くなっている。
厚生労働省が特別集計の結果を公式サイトで公表した。
障害福祉サービス報酬の特定処遇改善加算の取得率は、今年1月分まで明らかにされた。介護分野より更に低く、昨年10月が33.1%、11月が35.8%、12月が37.5%、今年1月が38.5%。全体の4割にも届いておらず、職員の賃上げがうまく進んでいない実態が浮き彫りになっている。
こうした現状を踏まえ、加藤勝信厚労相は22日の衆院・厚労委員会で、「今後、取得率の向上を図らなければいけない」と説明。「事業所に対する加算取得の支援を行っていく」との意向を示した。
これに対し野党議員からは、「制度設計に問題がある」との批判が噴出。ルールの複雑さや事務作業の煩雑さなどを問題視する声があがった。
介護職員らの特定処遇改善加算は、深刻な人手不足の解消に向けた厚労省の施策の柱。勤続10年以上の介護福祉士など、現場を牽引するリーダー級の職員の賃金を優先的に引き上げる点が特徴だ。月8万円の賃上げとなる人、あるいは賃上げ後に年収が440万円を超える人を1人以上設定しないといけない、といった要件が定められている。
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