22日の衆院・厚生労働委員会で、地域共生社会の実現に向けた施策を柱とする社会福祉法、介護保険法などの改正案が、与党などの賛成多数で可決された。【Joint編集部】
近く本会議を通過して参院へ送られる見通し。
今回の改正案は、介護、福祉、子育て支援、生活困窮者支援といった分野の垣根を超えた横断的な相談体制を、市町村などがより柔軟に構築できるようにすることが目玉。いわゆる“8050問題”や“ダブルケア”が顕在化するなど、地域の福祉ニーズが複雑化、複合化している現状に対応していくことが狙いだ。新たな交付金の仕組みなどを導入し、制度間の縦割りとなっている関連予算を一体的に使える環境を整備する。
施行は来年4月1日。まずは市町村の手あげに基づく任意事業としてスタートする。
少しずつ実施する市町村を増やしていき、ゆくゆくは全国的な取り組みへと発展させていく − 。厚労省はそうした意向を示しており、青写真をいかに具現化していくかが今後の大きな課題となる。
改正案にはこのほか、養成校を卒業した人に国家試験の合格を義務付ける介護福祉士の資格取得方法の一元化を、更に5年間先送りすることなども盛り込まれている。
衆院・厚労委の審議では、改正案の内容だけでなく新型コロナウイルスの流行による問題への対応も重要な争点となった。
野党側は政府に対し、高齢者への感染が最小限に留まっているのは介護現場の努力の成果だと繰り返し強調。近く編成される今年度の第2次補正予算案で、介護職への支援策を思い切って強化すべきだと訴えた。
これに対し安倍晋三首相は25日の審議で、「厳しい状況の中で頑張っている介護現場の皆さんを、国としてしっかりと支えていきたい」と答弁。「第2次補正予算案で具体化していく」と述べた。
政府は現在、介護職員向けの危険手当などを拡充する方向で与党と調整を進めているが、その対象範囲や規模などはまだ明らかにしていない。第2次補正予算案は27日にも閣議決定する方針。
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