通所介護の加算、単価増や要件緩和を検討 厚労省 次の介護報酬改定で

厚生労働省は20日、来年度の介護報酬改定をめぐる議論を進めている社会保障審議会・介護給付費分科会を開催し、通所介護を俎上に載せた。【青木太志】

課題として提示したのは、利用者の自立支援・重度化防止につながる取り組みを事業所に促す加算の取得率の改善。特に前回の2018改定で創設した「生活機能向上連携加算」、「ADL維持等加算」をテコ入れする意向を示した。

第180回社会保障審議会介護給付費分科会資料

委員からは要件を緩和するよう求める声が続出。単位数を引き上げてインセンティブを拡大すべきとの意見も相次いだ。

厚労省はこれらを選択肢として検討していく方針。年内に具体策をまとめる。今秋にそのアウトラインを提案する予定。

■ICT連携を認める案も

通所介護の「生活機能向上連携加算」は、外部のリハビリテーション専門職と連携した機能訓練のマネジメントを評価するもの。病院のPT、OT、STに事業所まで来てもらい、共同でアセスメント、計画策定、進捗管理を行うことなどが要件だ。

200単位/月。事業所ベースの取得率は地域密着型通所介護が1.1%、通所介護が3.9%にとどまる。昨年度の調査結果によると、算定できない理由のトップは「外部のリハ職との連携が難しい」。

厚労省は今後、外部のリハ職が事業所を訪問しない形の連携を認めるか否かを1つの論点として扱っていく。カンファレンスなど定期的に助言を受ける機会を設ける、そこにWeb会議ツールを柔軟に用いることを可能とする案が有力だ(*)。現場の関係者からは、人手不足に苦しむ職員の負担をなるべく軽くする方向で考えて欲しいとの要望が来ている。

* 訪問介護や小規模多機能などでは既に同様の方法が認められている。

■「単位数低すぎ」との不満が噴出

一方の「ADL維持等加算」は、評価期間の中で利用者のADLを維持・改善させた度合いが一定のレベルを超えている事業所が、次の年度に高い対価を得られるアウトカム評価。取得率は地域密着型通所介護が0.1%、通所介護が0.2%と極めて低い。利用者1人あたり最大で6単位/月。

「非常に手間がかかる」「ハードルが高い」「要件が複雑で分からない」。この日の会合ではこうした不満が噴出。「単位数が低すぎ」「割に合わない」などと批判する委員も複数いた。

これらの訴えがどこまで届くかが焦点。サービスの“自立偏重”やクリームスキミングが顕在化する懸念もあるため、厚労省はうまくバランスさせる妙案を模索している。

提供元:介護のニュースサイトJoint

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