視覚と聴覚の障害を併せ持つ盲ろう者がサービスを利用する場合は、外部の支援者を招いて体制の強化を図ることも可能 − 。厚生労働省は23日、全国の介護施設・事業所にそう呼びかける通知を発出した。【Joint編集部】
光と音が失われた状態にある盲ろう者の生活を支えるうえでは、専門性の高い特別なコミュニケーション技術が大きな力になる。ただ現行の運営基準では、外部の支援者にコミットしてもらって良いのか否か分かりにくい。基本的にその介護施設・事業所の職員がサービスの提供を担わなければいけない、と規定されているためだ。
厚労省は今回の通知で、障害者総合支援法に基づく「通訳・介助員派遣事業」を使うことができると改めて説明。適切に外部の支援者を受け入れる方法がある、という解釈を明確に示した。
介護施設・事業所へこうしたアナウンスを行うのは初めて。担当者は「関係者から要望を受けて対応した」と話す。介護保険最新情報のVol.874で広く周知している。
障害福祉の「通訳・介助員派遣事業」は、地域生活支援事業の一環で都道府県や指定都市、中核市が運営しているもの。盲ろう者のコミュニケーションや移動をサポートするために、例えば触手話や指点字、指文字などのスキルを持つ支援者を送り込む仕組みだ。
費用は国と自治体が半分ずつ出し合う。自治体の方針や支援内容などによって異なるが、介護施設・事業所や利用者には負担を求めないケースが多い。昨年度の調査結果では、全国に1161人の利用登録者がいると報告されている。
厚労省は通知で、外部の支援者を受け入れる場合は十分に連携をとるよう介護施設・事業所に要請した。あわせて、盲ろう者と関係のないサービスを支援者に幅広く任せるようなことがあってはならない、とくぎを刺している。
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