厚生労働省は来年4月の介護報酬改定で、通所介護の入浴サービスの質を更に高める施策を講じる構えだ。【青木太志】
既存の入浴介助加算の見直しを検討していく。15日に開催した社会保障審議会・介護給付費分科会で提案。多くの委員から賛同を得た。
ディスカッションの中では、新たな要件を加えたり評価を複数に分けたりする案が浮上。厚労省の担当者は会合後、「今日出た意見を踏まえて議論を深めていく」と話した。
通所介護の入浴介助加算は50単位/日。文字通り利用者の入浴を介助することが要件だが、それがいわゆる“見守り的援助”であっても対象となる。自立を促す観点からなるべく本人の力に任せ、結果として直接的な身体介護を伴わないケース(例えば声掛けのみなど)でも取得可能だ。事業所ベースの算定率は、通所介護が94.5%、地域密着型通所介護が77.8%とかなり高い。
「単に利用者の状態に応じた介助をするだけでなく、自宅での入浴回数の把握や個別機能訓練計画への位置付けなどを行っている事業所もある」
厚労省は会合でそう指摘した。あわせて、衣服の着脱や立ち座り、浴槽またぎ、洗身など一連の動作についてそれぞれ目標を定めていたり、自宅に似せた環境を作って個浴に取り組んでいたりするところもあると紹介。サービスの質に違いが生じている現状を説明し、加算のテコ入れで底上げを図りたい考えを示した。
これを受けて、特養の経営者で組織する全国老人福祉施設協議会の小泉立志理事は、「入浴は非常に重要。一番の目的として利用されている方も多い。事前に十分なアセスメントを行っている場合の評価を新設してはどうか」と提言。日本医師会の江澤和彦常任理事は、「今後は自宅での自立を目指した個浴を中心に評価していってはどうか」と述べた。
このほか、現行の単位数を維持して要件を増やすこと、基本報酬に包括化することを求める委員もいた。厚労省は年内に具体策の方向性を固める予定。
関連記事
新着記事