医療や介護に関する各種の資格とマイナンバーを結び付け、利便性の向上や事務作業の効率化につなげていく − 。厚生労働省は8日にこうした方針を決定した。【Joint編集部】
昨秋から構想を詰めてきた有識者会議の会合を開催。今後の具体化に向けた報告書をまとめた。
社会保障に係る資格におけるマイナンバー制度利活用に関する検討会:報告書
対象は主要な資格ほぼ全てだ。医師、薬剤師、看護師、リハ職、介護福祉士、社会福祉士、ケアマネジャーなど計31資格(*)があげられている。
* 対象資格
医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、視能訓練士、義肢装具士、言語聴覚士、臨床検査技師、臨床工学技士、診療放射線技師、歯科衛生士、歯科技工士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、救急救命士、介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士、公認心理師、管理栄養士、栄養士、保育士、介護支援専門員、社会保険労務士
政府全体で推し進めるDX(デジタルトランスフォーメーション)の一環。厚労省はデジタル庁の設置法案などとあわせて、関連法案を18日に召集される通常国会へ提出する。システム設計・開発などの準備を経て、2024年度にも運用を開始する計画だ。
マイナンバーと各種の資格を結び付けるメリットは多い。例えば、試験に受かるなどして最初に資格の登録をする時、あるいはその情報を変更する時の手続きの効率化だ。
戸籍抄(謄)本や住民票の写しなどを窓口へ持っていく必要はなくなる。マイナンバーカードやマイナポータルを使えば、全ての手続きをオンラインのみで完結させることも可能。本人が亡くなった時の登録抹消申請の簡略化も図れる。
また、患者・利用者に資格を提示する時、就職にあたって資格を証明する時も便利だ。
PCやスマホからマイナポータルにログインし、資格情報のページなどを見せれば事足りる。資格情報を電子的に提供することもでき、わざわざ免許証の原本やコピーを用意しなくても済むようになる。マイナンバー制度のセキュリティ対策を踏まえ、報告書には「医師などへのなりすましはより困難になる」と記載された。
「これまで紙ベース、対面ベースだった手続きの抜本的な見直しができる」。厚労省の担当者は会合でそう述べた。
今後、新たに資格を取得する人にマイナンバーの登録を求めていく考え。既存の専門職にも同じ呼びかけをするほか、個々の届け出の機会なども通じて登録を要請していく考えだ。
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