認知症の高齢者やその家族らを支える体制の充実を図ろうと、厚生労働省は今年度から新たに"伴走型支援"の拠点整備に乗り出す。今月、事業を積極的に活用して欲しいと現場に呼びかける通知を発出した。【鈴木啓純】
厚労省が開始するのは「認知症伴走型支援事業」。グループホームや小多機、特養など地域の既存資源に相談拠点を設ける取り組みを後押しする、という内容だ。実施主体の市町村に対し、必要となる人件費や間接経費などの半額を補助する。
既にかなり身近な存在となっている認知症の高齢者が、これから2025年、2040年にかけて更に増加していくことを見据えた動き。ニーズの多様化・複雑化も一段と進み、相談拠点の重要性は今以上に高まっていくとみられている。
厚労省は通知で"伴走型支援"の狙いを、
○ 早い段階から地域で相談できる体制を作る
○ 認知症に精通した職員が、症状の経過に伴って生じる生活上の諸課題に継続して対応していく
○ 介護離職の防止にもつなげていく
などと説明。地域包括支援センターにかかる負担を分散させる狙いもある。
相談拠点の業務としては、
○ 社会活動への参加をはじめ生きがいにつながるような支援
○ 専門職ならではの日常生活上の助言
○ 家族の精神的・身体的負担の軽減につながるようなアドバイス
○ 包括や地域支援推進員との連携・協働
などを想定。グループホームや小多機、特養などの専門性の高い職員が、日々の介護サービスに支障が生じない範囲内で、本業とは区別して対応していく形を想定している。費用は国が半分、市町村がもう半分を出して賄うという。
厚労省は既に事業の実施要綱を公表。通知では積極的にコミットして欲しいと現場の関係者に呼びかけた。また、"伴走型支援"を展開するためのマニュアルも作成。参考として使うよう促している。
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