厚生労働省から委託を受けた日本総研が昨年度に実施した保険外サービスに関する調査・研究プロジェクト − 。公式サイトで公表されたそのレポートには、ホームヘルパーの指名料や時間指定料の徴収について、訪問介護事業所に考え方を尋ねた結果も盛り込まれている。【Joint編集部】
「対応は難しい」とのリアクションが最も多かったと報告されている。
人手不足でニーズに応えられない、という声が多数。「公平性を確保できなくなる」「自立支援・重度化防止が阻害される」など、否定的な意見を持っているところが多いことも浮き彫りになった。
この調査は、全国1000の訪問介護事業所を対象として昨年末に行われたもの。回答者は原則サービス提供責任者とされている。
現行の規制は、訪問介護事業所がヘルパーの指名料や時間指定料を徴収することを認めていない。これを容認すべき、という主張は以前から一部の経営者らの間で支持されてきた。お金を払える利用者・家族の選択肢を広げるほか、新たな収益源の確保やヘルパーの処遇改善などにつなげられると期待されている。
今回の調査結果からは、少なからぬ訪問介護事業所が国の規制の趣旨に賛同している現状を読み取れる。
ヘルパーの指名料については67.1%が、時間指定料については50.3%が「対応は難しい」と回答。両方とも「分からない」が2番目に多かった。「対応したい」「対応を検討したい」は時間指定料の方が多く、21.1%だった。
訪問介護事業所側の課題では、「シフト上対応できないことが多い」がいずれも75%超で最多。想定されるデメリットとしては、
○ お金を払える利用者へのサービスが優先され、社会保障制度として求められる公平性を確保できなくなる
○ 利用者の御用聞きになってしまい、制度の理念である自立支援・重度化防止が担保できなくなる
○ お金を払う利用者と払わない利用者との間でサービスの質に差が生じる
などがそれぞれ5割超と多かった。こうした結果を受けて日本総研は、「現時点でヘルパーの指名料や時間指定料を実施することは難しい面が大きい」「公平性の担保が難しく、実現を可とすることが適切とは言えないのではないか」との見方を示している。
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