全国の8万6000人超の介護職で組織する労働組合「UAゼンセン日本介護クラフトユニオン(NCCU)」は23日、給与水準の動向などを探る調査の最新の結果を公表した。【Joint編集部】
それによると、月給制で働く介護職全体の2020年の平均年収は363.1万円。処遇改善加算の拡充、特定処遇改善加算の新設の効果などにより、3年前の前回調査より13万円高くなっていた。
これまでの推移をみると、介護職の年収が少しずつ改善してきていることが分かる。ただ、全産業平均との格差は2020年で96万7100円。以前よりだいぶ縮まっているとはいえ、なお100万円に近い大きな開きがあるのが実態だ。
NCCUが公表した2020年の職種ごとの年収は以下の通り。入所系の管理者がトップで、介護職員では通所系が最も低い。ケアマネジャーは全体平均を上回っているが、訪問系、通所系の管理者よりも低くなっている。
「いまの処遇に満足していますか?」
この質問に対する答えは、42.8%が「少し不満」、23.8%が「大いに不満」。これを併せると66.6%にのぼった。「不満」の理由としては、「社会的な平均より低い」「業務量に見合っていない」「生活していくのに不十分」などが目立っていた。
こうした結果を踏まえNCCUの染川朗会長は、「介護職と全産業平均の格差は残念ながらまだまだ是正されていない。加算による効果は若干だ」と問題を提起。「賃金への不満を持っている人が3分の2を占めている。国は危機感を高めて人材確保に取り組むべき。最も密接に関係してくるのは処遇だ」と訴えた。
この調査はNCCUの組合員を対象としたもの。昨年8月から10月にかけて行われ、3069人の介護職から有効な回答を得ている。
関連記事
新着記事