およそ2年後の2024年度から全ての介護サービス事業所に策定が義務付けられるBCP(業務継続計画)について、未だ「策定の目途は立っていない」と答えたところが全体の2割強にのぼっていることが、国の最新の調査結果で明らかになった。「策定の見込みがない事業所は調査時点でおよそ4分の1ある状況」とまとめられている。【Joint編集部】
「進め方や検討すべきことが分からない」「職員が不足している」「時間がない」。
未策定の事業所に理由を聞くと、こうした声がとりわけ多くあがったという。このままでは取り残されるところが出る可能性もあるため、現場を適切に後押ししていくことの必要性が指摘されている。
全サービスへのBCP策定の義務化が決まったのは2021年度の介護報酬改定。現在は2024年度に向けた3年間の準備期間のさなかにある。
この調査は、現場の取り組みの進捗などを詳しく把握するためのもの。厚生労働省から委託を受けた民間のシンクタンクが、昨年の10月から12月にかけて実施した。特養や老健、訪問介護、通所介護、居宅介護支援、グループホーム、小規模多機能などが対象で、全国の1811事業所から有効な回答を得ている。
感染症と自然災害、それぞれのBCP策定の進捗は表の通りだ。「今年3月までに策定予定」とした事業所は、両方とも全体の約半数だった。「2024年3月までに策定予定」の割合や無回答も踏まえ、「見込みがない事業所はおよそ4分の1」と総括されている。
調査結果ではこのほか、規模の小さい法人ほど目途が立っていない割合が高くなる傾向が出ていた。また、今のところBCP策定が十分に進んでいない事業所であっても、例えば物資の備蓄や連絡先の整備など、必要な取り組みを既に行っているケースが珍しくないことも分かった。
調査結果のレポートにはこうした実態を踏まえ、「各種研修を通じて広く周知するなど、BCP策定に向けて動き出すよう促すことが必要」「小規模法人にはより丁寧な情報発信の方法を検討するなどの工夫が必要」といった分析が記された。併せて、次のような提言もなされている。
「最初から完璧なBCPを策定することは難しい。まずは既存のひな形を埋めるところから始め、自治体、事業者団体、職能団体らが提供する研修、新たに発出された手引き、事業所での研修・訓練などを通じて得た気づきを踏まえ、策定したBCPのブラッシュアップを図ることで、それぞれの事業所に合ったBCPに近づけていくことが、本来のあり方であることを伝えることも重要」
関連記事
新着記事