厚生労働省は5日、介護施設・事業所の管理者の「常駐」について現行ルールの解釈を明らかにする通知を新たに発出した。【Joint編集部】
介護施設・事業所を管理するうえで支障が生じない範囲内で、という条件付きで「テレワークを行うことが可能」と明記。“支障が生じない範囲”の考え方も提示した。
介護保険最新情報のVol.1169で現場の関係者に広く周知している。厚労省が管理者のテレワークについて解釈を示すのは初めて。
各サービスの今の運営基準には、管理者の常駐に関する決まりが明示されていない。例えば、原則として介護施設・事業所ごとに常勤で配置すること、職員や業務の管理、運営基準の遵守に必要な指揮命令をすること、などと書かれているにとどまる。
厚労省の今回の通知は、政府の「デジタル臨時行政調査会」が昨年6月にまとめた「一括見直しプラン」を踏まえたもの。デジ臨はこの中で、ICTなどを活かして生産性の向上や人手不足の緩和を図る観点から、いつも現場に物理的にいて働くよう求める“常駐規制”を改めるべきと各府省に促していた経緯がある。
これを受けた厚労省は今回の通知で、
などと説明。「利用者や家族の相談対応なども含め、サービスの提供やその質に影響が生じないようにすること」と要請した。
あわせて、こうした取り扱いはあくまでも管理者の職務のみを対象とするものだと強調。「管理者が介護職員など他の職種を兼務する場合、その職種の業務に関して示したものではない」と念を押した。管理者以外の職種のテレワークをどう位置付けるかなどは、更に検討を深めて今年度中に公表するとしている。
管理者がテレワークをする際の“支障が生じない範囲内”とは、具体的にどんな状態を意味するのか? 厚労省は通知で、次のように考え方を整理している。
◯ 管理者が介護施設・事業所を不在とする場合であっても、サービスごとに定められた自らの責務を果たせる体制を整えておくこと
◯ 管理者以外の職員に過度な負担が生じないようにすること
◯ 管理者と利用者、職員とが適切に連絡を取れる体制を確保しておくこと
◯ 利用者や職員、その他関係者と、テレワークを円滑に行えるような関係を日頃から築いておくこと
◯ 事故の発生、利用者の状態の急変、災害の発生など緊急時について、あらかじめ対応の流れを定めておくとともに、必要に応じて管理者が速やかに出勤できるようにしておくこと
◯ こうした運用について、利用者やその家族、都道府県、市町村などから求めがあれば、適切かつ具体的に説明できるようにしておくこと
厚労省はこのほか通知で、「管理者としてテレワークを行える日数・時間数は、サービスの種類や現場の実態などに応じて各事業者が個別に判断すること」との認識を示した。
また、国のガイドラインなども参考に個人情報の取り扱いなどに十分注意するよう呼びかけた。通知では、その際に参考にすべきガイドラインなども紹介している。
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