来年度の診療報酬改定を議論している中医協(中央社会保険医療協議会)で20日、集合住宅などの入居者にサービスを提供する訪問看護の医療費の適正化がテーマの1つとなった。【Joint編集部】
一部の高額請求、頻回訪問などの是正に踏み込むかどうかが焦点。厚生労働省は論点の中に、同一建物にかかる診療報酬の減算の強化も盛り込んだ。
今後、データ分析などを進めて現場の実態を捉えた具体策の議論を深める構えだ。
厚労省の調査結果によると、訪問看護の医療費は右肩上がりで推移しており伸び率も大きい。1人あたりの請求額としては月3万円台が最多。ただ、月60万円を超える高額ケースも少数だが存在している。
厚労省が論点にあげたのは2つ。まずは「緊急訪問看護加算」の評価の見直しだ。現行では利用者・家族の求めに応じ、主治医の指示に基づいて緊急に訪問すると算定できる。これを毎日算定している利用者が一部にいるという。
2つ目は同一建物にかかる減算。医療保険の訪問看護では、同じ日に同じ建物の利用者3人以上にサービスを提供しないと対象にならない。
一方で介護保険の訪問看護では、同じ建物、敷地内、隣接する敷地内の利用者にサービスを提供すると減算が適用されるなど、より厳しい要件となっている。こうした違いの合理性の有無が論点だ。
会合では支払い側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)が、「同一建物減算は介護保険の方が現実に即している。医療保険を介護保険にそろえるべき」と提言。「訪問看護は適切な職種、適切な人数、適切な頻度で提供されることが重要」とクギを刺した。
一方、診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)は、「明らかに問題なのはごく一部の事業所。こうした“外れ値”は審査で対応するのがセオリー」と主張。「医療ニーズが高く頻回・高額となるケースもある。十分なデータを踏まえてより丁寧に検討する必要がある」と指摘した。
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