厚生労働省は来年度から、全ての介護事業者に対して経営情報の毎年の報告などを義務付ける。そのルールの概要を7日の審議会(社会保障審議会・介護保険部会)で明らかにした。【Joint編集部】
経営情報の都道府県への報告と「介護サービス情報公表制度」を通じた公表の2つを求めていく。
都道府県への報告は、毎会計年度の終了後3ヵ月以内にオンラインなどで行う決まりとする。ただ、初回に限り来年度中の報告で差し支えないとした。
原則、全ての介護事業者を報告義務の対象とする。ただ、規模の小さな事業者の対応の難しさなどを勘案し、次のいずれかに該当する場合は除外するとした。
この経営情報の報告・公表の義務化は、介護職の更なる賃上げや介護報酬改定など各施策の精度を高めることが目的。介護事業者の経営を“見える化”し、実態をより正確に把握・分析できるようにする狙いがある。
厚労省は寄せられた情報からデータベースを構築し、匿名化したうえで全体の傾向などを明らかにしていく方針。今年5月に成立した改正介護保険法などに、こうした新たな制度の導入を盛り込んでいた経緯がある。
厚労省が提示した省令の改正案によると、都道府県への報告では施設・事業所の基本情報や収益、費用、職員の職種別の人員数などの記載が必要となる。職種別の給与水準は任意事項とされた。
一方、「介護サービス情報公表制度」を通じた経営情報の公表は、損益計算書やキャッシュフロー計算書、バランスシートといった財務諸表が対象となる。原則として施設・事業所ごとの公表が義務付けられる。
ただ、拠点や法人ごとの一体会計で区分けが難しい事業者などは、拠点単位、法人単位の公表も可能にするという。また、職員1人あたりの賃金水準の公表は差し当たり任意とされた。
今後、厚労省は細部を詰める検討を更に進めていく考え。改正省令や関連通知などを年度内に示す計画だ。
関連記事
新着記事