厚生労働省は4日、来年度の介護報酬改定で6月から一本化する新たな処遇改善加算について、詳細なルールを規定する通知を発出した。その中で明示された算定要件を分かりやすくまとめていく。【Joint編集部】
新加算の算定要件は大きく9つ。これは「キャリアパス要件」「月額賃金改善要件」「職場環境等要件」の3つに分類される。
以下をどこまで満たせるかで、新加算の4区分のどれを取得できるかが決まる。厚労省は上位区分の取得を後押しする観点から、多くの要件に一定の経過措置を設けることにした。
新たな処遇改善加算の算定要件
■ キャリアパス要件
(1)介護職員の職位、職責、職務内容に応じた任用の要件などを定め、それに応じた賃金体系を整備する。
※ 2024年度中は年度内の対応の誓約で可。
(2)介護職員の資質向上の目標や具体的な計画を策定し、それに沿った研修の機会を確保する。
※ 2024年度中は年度内の対応の誓約で可。
(3)経験や資格に応じて昇給する仕組み、または一定の基準で定期に昇給を判定する仕組みを設ける。
※ 2024年度中は年度内の対応の誓約で可。
(4)経験・技能のある介護職員のうち1人以上は、賃金改善後の賃金額が年額440万円以上であること。
※ 小規模事業所で加算が少額な場合などは適用免除。
(5)サービス類型ごとに一定割合以上の介護福祉士などを配置していること。
※ サービス類型ごとに特定事業所加算、サービス提供体制強化加算、入居継続支援加算などの算定が必須。
■ 月額賃金改善要件
(6)新加算(IV)の加算額の2分の1以上を、基本給か毎月支払う手当に充てる。
※ 2025年度から適用。
(7)前年度と比較して、現行のベースアップ加算の加算額の3分の2以上を用い、基本給か毎月支払う手当の引き上げを行う。
※ 現行のベースアップ加算を未算定の場合のみ適用。
■ 職場環境等要件
(8)6つの区分ごとにそれぞれ2つ以上取り組む。ただし生産性向上は3つ以上、うち一部は必須。実施した取り組みの内容を情報公表システムなどで具体的に公表する。
※ 2024年度中は区分ごとに1つ以上の取り組みでも可。取り組み内容の公表は不要。
(9)6つの区分ごとにそれぞれ1つ以上取り組む。ただし生産性向上は2つ以上必要。
※ 2024年度中は全体で1つ以上で可。
* 職場環境等要件の6つの区分は
通知から。
こうした算定要件のうち、新加算の最上位の加算(I)を取得するためには全てを満たす必要がある。加算(II)以下は次の通りだ。
新たな処遇改善加算の区分ごとの要件(上記の算定要件の番号に対応)
■ 新加算(I)
上記全て
■ 新加算(II)
上記(1)(2)(3)(4)(6)(7)(8)
■ 新加算(III)
上記(1)(2)(3)(6)(7)(9)
■ 新加算(IV)
上記(1)(2)(6)(7)(9)
厚労省はこうした算定要件やサービスごとの加算率などの詳細を、今回の通知で明らかにしている。新加算への移行が困難な事業所には、来年度に限り、現行の3加算の加算率以上を担保する経過措置を適用する。
このほか、新加算のルールを分かりやすく整理した事業者向けのリーフレット・資料も新たに公表。新加算への移行を円滑に済ませるために、より上位の区分を算定するために必要なことを、これまで以上に丁寧に解説している。