新型コロナウイルス流行による外出自粛。介護を受ける高齢者と家族にとっては、悪いことだけではなかったようです。
訪問介護のヘルパーがいつものようにある高齢者のお宅を訪れると……。
訪問介護を利用している柴田さん。奥さまに先立たれてからは息子さんと2人暮らしです。軽度のパーキンソン病があり、手の震えや歩行時のつまずきがあるため、買い物と掃除のサービスでヘルパーが介助に当たっていました。
いつも通り柴田さん宅を訪れると、何と柴田さんはピンクの花柄がついたヒラヒラのエプロン姿で出迎えてくださいました。これには驚きです。
いつもは地味な色の使い古したポロシャツで過ごしている柴田さんですが、何とも自然な着こなしでたたずんでいました。
すると奥から柴田さんの息子さんが。いつもはいらっしゃらない息子さんですが、新型コロナウイルス感染拡大防止のガイドラインに従って、自宅でテレワークを行っていたのです。
しかしその息子さんもワイシャツにエプロン姿。息子さんの挨拶が終わったころ、柴田さんが「実は2人で料理に挑戦しているところで」と説明してくださいました。
さらにヒラヒラエプロンは亡くなった奥さまの持ち物で、奥さんの料理の腕にあやかって着けたのだそうです。
父子の男2人暮らしだと、料理ってしないんですね。掃除しながら横目でお2人を見ていると、あたふたとおぼつかない様子。じゃがいも片手にスマホを確認しながら、「肉じゃがのジャガイモのきり方って書いてないなぁ」などと2人でボヤいています。
テレワーク以前の息子さんは、朝早くに出かけ夜9時に帰宅する生活だったので、柴田さんは日中1人で過ごす時間がほとんど。平日の昼に2人でキッチンに立つことなど、今までなかったのかもしれません。
新型コロナウイルスの感染拡大により辛い思いをした方は少なくありませんが、自粛生活の中で、柴田さん親子は今までになかった経験をすることができ、非常に有意義だったようです。
料理の味についてはまだ課題があるようだったので、再チャレンジするそう。天国の奥さんもきっと喜んでいるだろうなと思いました。
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