恋愛感情は若い人だけのものではありません。高齢者にも少なからず恋心があるようです。
いつものようにスタッフがデイサービスの送迎に行くと、旅行にでも行くのかと思うほどの大荷物を持った利用者さん。不思議に思うスタッフの前に現れたのは……。
自分のお父さんやお母さんが、パートナーが亡くなった後に知らない異性と仲良くしていると、「うわ、なんか気持ち悪い」という気持ちになるご家族が多いようです。あなたはどうですか?
実は、高齢になったからといって恋する気持ちやモテたい気持ちがなくなるわけではなく、むしろ互いの年齢や世代を超えてまで恋愛感情(もしくはそれに似た思い)を抱くようになるんです。
もちろんそれはウィズコロナの生活の中でも静かに芽生えていました。
勝田さんは80代男性。奥様を早くに亡くされ、長い一人暮らし生活を送っていました。年とともに関節痛が増して、お風呂に入る際に足が上がらなくなってしまったためデイサービスを利用されるように。
勝田さんにはひと世代上のお隣さんがいます。そのお隣の女性とは、勝田さんの奥様がまだご存命のころから家族ぐるみで仲が良かったそうです。
ある日送迎車で勝田さんを迎えに行くと、いつもの倍ぐらいの荷物を持って勝田さんが立っています。家出かと思うほどどっさり用意された荷物だったので勝田さんにお話を伺うと、「となりのばあさんがワシに持たせてきた」とのこと。
仲がいいとは聞いていたから、足が悪い勝田さんのためにお隣さんがデイの準備をしたのかな…それにしても多いなぁ…などと考えていると、お隣さんが慌てて玄関から出てきて言いました。「やっぱりこっちのマスクにしたら⁉」手には不織布のマスクがあり、勝田さんは少々げんなり。
デイサービスに着いてからその荷物を開けると、中から消毒スプレー、消毒ジェル、空間除菌スプレー、フェイスガード、マスクスプレーなどなど…あらゆる対コロナグッズがどっさり。勝田さんは職員に話してくれました。
「隣のばあさんは昔から面倒見のいいひとだったが、旦那が死んでからたまにボケたようになる」「ワシを夫と勘違いしているよう」と。どうやら認知症の症状が影響しているようでした。
そういえばお隣の女性が勝田さんに寄り添う様子は、夫婦のそれと似た雰囲気がありました。お隣さんの優しさや世話好きさにも心温まりましたが、その厚意を無下にせず受け入れている勝田さんの優しさにも感動したエピソードでした。
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