認知症の進行とともに無気力になり、表情も乏しくなってしまった江川さん。ですが、あるときだけはとても良い表情になります。その理由は旦那さんの努力とふるさと納税にあったよう。
訪問介護のヘルパーが見た心あたたまるエピソードとは?
師走のさなか、今年は防寒対策だけでなく感染症対策も慎重に行う必要があります。そんな状況に疲弊している介護スタッフや高齢者は少なくありません。
我々訪問介護ヘルパーも万全を期していますが、風邪症状がある職員は症状改善まで出勤禁止のお達しが出るなどし、訪問が遅れたり調整せざるを得ないケースが多発したりと混乱が続いています。
そんな厳しい職場環境はどこも同じなのですが、先日ほかの訪問介護事業所に勤務する元同期の友人から、心あたたまる話を耳にしました。
友人がヘルパーとして訪問している江川さん宅。利用者の江川さんは70代後半に発症した認知症をもう10年も患っておられます。
最初は歩くことができたのだそうですが、認知症の進行とともに、ベッドから自発的に起き上がることがないほど無気力に。食事も促さないと摂らなくなってしまいました。
よって、ヘルパーの訪問目的は食事介助。それも通常の倍ほどの時間をかけてゆっくりと召し上がられます。
食事の時間で江川さんがもっともイキイキしているのが、大好物のりんごを目にしたときです。蜜がたっぷり入っていかにもおいしそうなそのりんごは、ご主人によるお取り寄せ食材。
江川さんが生まれ育った地域はりんごが特産で、小さいころから地元のりんごを食べて育ったそう。
食が細くなった妻に何かおいしいものをと考え、ご主人は江川さんが幼少から食したであろう品種を探しにさがして、やっとふるさと納税の返礼品で見つけたんだとか。
日ごろ表情が乏しく意思疎通もかなわない状態の江川さんですが、このりんごを食べるときだけは満面の笑みになるそうです。
家族介護では、認知症が進むと以前の性格が垣間見えず、介助者がコミュニケーションを心のどこかで諦めてしまうこともあります。
しかし、ご主人の瞳にはお元気であった頃の江川さんの姿がまだ鮮明に映っているんだと思います。
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