「介護職への最大20万円の慰労金を除き、国の支援策は期待されたほど活用されなかったようだ」。レポートではそう結論付けられている。【Joint編集部】
介護労働安定センターは27日、新型コロナウイルスの流行が介護現場に与えた影響などを探った調査の結果を新たに公表した。厚生労働省が展開した事業所への支援策は実際にどれだけ使われたのか、というデータも報告している。
それによると、政府の昨年度の第2次補正予算で支給されることになった介護職への慰労金を申請した事業所は、全体の90.1%にのぼっていた。
その一方で、同じく2次補正の"かかり増し経費"の助成(緊急包括支援事業の感染症対策徹底支援事業)を申請した事業所は47.8%。全体の半数以下に留まっていた。このほか、「知っているが申請していない」が29.5%、「知らない」が13.2%、「無回答」が9.4%となっている。
また、厚労省が累次の通知で容認してきた介護報酬や運営基準などの各種特例については、適用した事業所が22.5%のみ。「知っているが適用していない」が58.5%を占めていた。「知らない」は12.7%、「無回答」は6.2%だった。
介護労働安定センターは、「事業所が置かれた多忙かつ不安な状況から対応が困難だったことは理解できるが、現場の危機を軽減する支援策の活用が進まなかった点は大きな課題」と指摘。「支援策を適切に活用して危機を乗り越える方策を検討すべき」と提言している。
この調査は昨年12月から今年1月にかけて実施されたもの。東京都や大阪府、愛知県など感染者が多い地域を中心として2160事業所(*)へ調査票を配り、57.4%にあたる1240事業所から有効な回答を得たという。
* 居宅介護支援、訪問介護、通所介護、小規模多機能、特養、老健、グループホームなどが対象。
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